カルシウムと聞いて皆さんは何を思い浮かべますか?
おそらく、一番早く頭に浮かぶのは「牛乳」や
「骨」ではないでしょうか。
よく小学校で牛乳は栄養がたっぷりだからたくさん飲もう!と
言われた気がします。
牛乳は確かにカルシウムを多く含んでおり、カルシウムは
人の骨や歯などの構成成分になります。
さて農業の分野の人に聞くと、「牛乳」や「骨」よりも先に
「石灰」のことが思い浮かぶかもしれません。
これはカルシウムを含む「石灰」という白い粉を
畑にまくことがあるからです。
ではこの「石灰」何のためにまくのでしょうか?
主に二つの理由があります。
一つ目の理由として、カルシウムが私たちの栄養となるように、
植物への栄養となり生育を助けるからです。
二つ目の理由は、土のpHの調整のためです。
pHとは水素イオンの量を表す指標。土の中の水のpHによって
植物がどれだけ効率よく養分を吸収することが
できるか決まってきます。
農業の場合、N(窒素)、 P(リン酸)、 K(カリ)などの
養分は、pHが6.5-7.5の間であると最も作物に吸収され
やすいといわれています。
通常、栽培を行っていると、土はどんどん低い
pHになってしまいます。
そこで、石灰を投入すると、作物に適したpHにまで数値を
上げることができます。
かん水の話はまだなのか?
しばしお待ちください。
畑に石灰を投入する際、ブロードキャスターなどを使って
トラクターで投入することができます。
しかし、ポット栽培などではこの方法は使えません。
そこでやっと登場するのがドリップかん水資材です(お待たせしました!)。
カルシウムという栄養を作物に与えるために、
ドリップチューブやドリップペグから出る水に
カルシウムを混ぜます。
こうすることによって、施肥の作業時間が大幅に削減されます。
ただしここで注意点がございます。
カルシウムは結晶化しやすく、結晶になってしまうと、
ドリップチューブを詰まらせてしまいます。
サンホープではドリップの目詰まりを改善する
ために、フィルターを取りそろえております。
しかし、カルシウムはもともと水に溶けている成分なので、
フィルターでは除去できません。
したがって、カルシウムをドリップチューブで施用される際は、
以下の点に気を付けていただく必要があります。
1.リン酸塩、および硫酸塩を含む液肥とカルシウムを含む液肥を混ぜない
2.カルシウムの入った水のpHを5-7にキープ
3.カルシウムの結晶が見られる場合は、pH4以下の酸性の水を30-60分にかけて投入して洗浄
1.
カルシウムはリン酸塩、および硫酸塩と反応し結晶化するので、別々の
液肥タンクに入れ、同時に施用しないように工夫します。
例えば液肥タンク1にリン酸塩と硫酸塩系の肥料をいれ、
液肥タンク2にカルシウム系の肥料をいれるといった具合です。
またこの2液を同時に施用しないことを心がけます。
2.
カルシウムはpHが高いと、結晶化してしまう傾向にあります。
水道の水のカルシウム濃度が高い国では、よく電気ケトルの底に
カルシウムの結晶がこびりつくことがあります。
この時ポットにレモン汁などを入れて、pHを下げて結晶を
取り除くことができます。
液肥にレモンを投入することはできませんが、塩酸などを
使用してpHを調整してください。
*塩酸などの強酸を使用される際は、ご購入元の取り
扱い方法に従って調整してください。
**リン酸や硫酸などを使用されると、結晶化の恐れがあります。
3.
pHが高くなりすぎないように調整しても、結晶がチューブに
見られるときは、pH4ほどの溶液をチューブに
30-60分ほど流し、洗浄してください。
*この時も塩酸を使用し、リン酸や硫酸などを避けてください。
**潅水設備に金属部品が使用されていないことを
確認してください。低いpHは金属の腐食を促進させます。
***使用されるかん水機器が低pHでも使用できるか
メーカーにお問い合わせください。
実際にpHを調整した後にpHを測定されたい方は、
㈱共立理化学研究所様のパックテスト®をお勧めします。
注意点はありますが、カルシウムとかん水、うまく付き合えば
栽培の強い味方になってくれると思います。
かん水に関してわからないことがありましたら、
水と環境をコーディネートする会社、サンホープまで
お問い合わせください。
(参考サイト)
sunhope mailmagazine vol.36
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