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アグリカルチャー4.0。農業技術の将来

ニュースサイト Business Wire Inc.が公開している

2019年世界政府サミット(WGS2019)のニュースに、

未来の農業に関係する内容を見つけました。

 

『WGS 2019: World Government Summit

Proves Catalyst for Serious Global Change

WGS2019:世界政府サミットが

重要な地球規模の変化への促進剤に』

 

世界政府サミット(WGS)は、世界中の政府が未来を築くために

開催するフォーラム。毎年、人類が直面する普遍的な問題の

解決のためのイノベーションとテクノロジーの活用に

重点を置いた次世代の政府の課題を設定しています。

WGSは、政府、未来志向、テクノロジー、イノベーションの融合を

促す知識交流のプラットフォーム。

有識者や各界のリーダーが一堂に会し、向こう数十年間に人類が

対峙すると考えられるトレンド、問題、機会を分析すると同時に、

それらに対する最善の対応についてクリエイティブな

アイデアを引き出すためのイノベーションや

スマート・ソリューションを紹介しています。

 

WGS2019では、各国の大統領、首相、ビジネスリーダー、

慈善家がドバイに集結して人々の持続可能な

未来を描きました。

ルワンダのポール・カガメ大統領

「アフリカは一つの統一された大陸になることで

その可能性を最大限に引き出すことができる」。

イムラン・カーン首相、ハリソン・フォード氏、

クリスティーヌ・ラガルド氏、シェイク・ハムダン氏などが

講演し、フランシスコ教皇の歴史的な映像演説もありました。

その週の初めには、リーダーシップ専門家で起業家の

トニー・ロビンズ氏が、現在UAEの指導者と協力して、10億人に

食料を提供するための人道プロジェクトに

取り組んでいると発表しました。

ドバイ皇太子のシェイク・ハムダン・ビン・ムハンマド・

ビン・ラーシド殿下は「急増する世界的な人口増加に対応するため、

未来の都市部は世界の食料供給源になる可能性がある」と述べました。

ニュース全文はこちら

https://www.businesswire.com/news/home/20190212005653/en/WGS-2019-World-Government-Summit-Proves-Catalyst-for-Serious-Global-Change

 

このサミットで議論されたように、農業には

変革が求められています。

世界的なマーケティング会社Oliver Wyman社が

未来の農業についてまとめた資料を

抜粋してご紹介します。

「Agriculture 4.0: The Future of Farming Technology

アグリカルチャー4.0:農業技術の将来」

2015年、国連の2030年持続的可能な開発の

アジェンダと国際社会が約束したのは、飢餓に終止符を打つことであった。

 しかし、世界では8億人が飢餓に苦しんでいる。

今と同じ生活をしていると、2030年には、世界人口の8%

(6億5千万の人)が、栄養不足に陥る。

2050年は世界人口100億人に対して、70%の食料しか生産できない。

その間、世界GDPの農業におけるシェアは、わずか3%に縮小する。

 

アグリカルチャー4.0=農業第4世代においては、

「水」「肥料」「防除」を畑全体に均等に

与えることはなく、生産者が必要最低限の量を

ピンポイントの場所に使用して効率的な生産や管理を行う。

 

生産者や農業従事者は、例えばセンサー、機器、IoTなどを

使った最新技術による、従来とは全く異なる方法で

作業をしなければいけない。

将来の農業は、洗練された技術、例えば、ロボット、

温度、湿度センサー、衛星画像、GPS等を使う。 

このような最新機器、精密農業、ロボットシステムは、

更なる利益、合理性、安全性、環境にやさしい農業を

生産者へ提供する。

これらの努力は、決して安価なものではない。

2030年までに飢餓を止め、人口圧力を緩和するには、

年間265兆円の投資が必要であると、FAOが報告している。

 

■技術の進化マップ

2.1 新しい技術を利用した様々な栽培方法

 

水耕栽培

水耕栽培は、土を使わずに植物を育てる方法で、

ミネラル栄養溶液を水で溶かして培地にする。

オーストラリアのSundrop社は、ソーラー発電により

海水を淡水化する水耕栽培技術を開発し、あらゆる場所で

農作物の栽培を可能にした。

 

藻類原料

養殖場で栽培された藻類が、有機質肥料として

油粕や魚粉の替わりになっている。

 

バイオプラスチック

イスラエルのTIPA社は

果物や野菜と同様に、たい肥可能で

リサイクル可能なプラスチックパッケージを取り扱う。

更に廃棄しても、毒性がなく、分解されるものを目指している。

従来のプラスチックと同じ耐久性や保存期間を保ち、

更には、自然回帰可能な、最新のプラスチック

パッケージを開発中である。

 

砂漠農業・海水農業

 サウジアラビアのKAUST

(キング・アブドゥッラー科学技術大学)は、砂漠農業の研究で

トップを走っている。生物的、非生物的の両面で研究を行い、

生物的研究では、物理的組織と植物成長に関わるゲノム編集技術や

根や芽の構造に影響を与える植物ホルモンなどを研究している。

 

2.2 食物連鎖の中で新しい技術を駆使して

効率的に消費者に食物を提供する方法

垂直農園・都市農園

 垂直農園は、植物を縦方向の段にして育てる方法で、

作物を育てる環境に適する土地がないところで利用される。

水、肥料、栄養肥料を95%削減でき、農薬は使わない。

2004年、米国のAeroFarm社では、通年栽培をし、

同じ広さの従来の農園での390倍の生産を可能にした。

但し、費用を抑えるためには電力の費用に

左右される。そのために、政府の助成金や税金の

特例を設けることが望まれる。

 

遺伝子改変・培養肉

CRISPR(酵素とガイド役の遺伝物質の組合せ)技術は、

ゲノム編集にたいへん重要な、新しいアプローチである。

この技術は、収穫量の改善と対抗性のある品種を

作るだけでなく、作物の必須ビタミン、栄養、

ミネラルを増やすこともできる。

培養肉は、可能性を秘めた新しい技術だが、まだ開発には

虚弱な面がある。食料保全、環境、動物性食品の病気、

動物保護の観点へのインパクトもある。

 

食品への3Dプリント技術

 専門家は、Hydrocolloids(ハイドロ ロコイド)を

使ったプリンターは、再生可能な物質、例えば、藻類、

アオウキクサ、草などで、食物の原料を置き換える事が

出来ると考えている。

研究者のなかには、動物性たんぱく質を藻類に

置き換える実験も始めている。

 

2.3 産業間の垣根を超えた技術の導入とその応用

ドローン技術・データ分析・IoT・精密農業

➡ ナノ技術・AI・食料シェアリング

記事全文、資料のダウンロードはこちら

https://www.oliverwyman.com/our-expertise/insights/2018/feb/agriculture-4-0–the-future-of-farming-technology.html

 

日本でも、アグリカルチャー4.0に関する書籍が発刊

されているように、農業界は、ますます斬新な技術によって

革新されて行くようです。

 

皆様にぜひご紹介したい映画があります。

先月アメリカで上演された

Kiss the ground 「キス・ザ・グラウンド」:

大地が救う地球の未来 です。

気候変動対策で注目されてきたのは、頭上に存在する大気の状態。

だが実は、地球を救うための鍵は足元の大地にも隠されていた。

植物、動物、自然の力で荒れた農地を再生し、作物を育てる

「再生農業」についてのドキュメンタリー。

公式サイトはこちら

https://kisstheground.com/

 

sunhope mailmagazine vol.17