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農業と過酸化水素

みなさん、過酸化水素と聞いて何を思い浮かべますか?

 

転んで傷ができたときに、消毒で使ったオキシドールでしょうか。

または理科の酵素の授業で、過酸化水素に二酸化マンガンや

レバーを入れると酸素が発生するという、

懐かしいあの実験を思い出す方もいるかもしれませんが、

農業分野では、土壌消毒剤や、酸素供給剤などとして活躍しています。

(参考:

https://www.takii.co.jp/tsk/saizensen_web/oxo-power/)

 

また、かん水用の水に混ぜて水を殺菌し、かん水設備における

いわゆるバイオフィルムの発生を防ぐという用途でも活用できるようです。

 

イスラエルの農業ポータルサイト「ISRAEL AGRI」より

この万能選手である過酸化水素を、なんと圃場で作ることができる

HPGen™という装置をコペンハーゲンに本社を構えるHPNow社が開発しました!

この装置は過酸化水素の作製に水と電気のみを使用し、

ほかの化学物質や添加物は一切必要としないため、取り扱いが容易です。

また使用後も水と酸素に分解されるのみで、不要な痕跡を残しません。

HPGen™:

https://www.hpnow.eu/on-site-hydrogen-peroxide-products/

HPGen™によって作製された過酸化水素はかん水ラインに注入され、

水中の細菌や藻類の繁殖を阻害することでドリップチューブ等の

目詰まりを予防。さらには土壌に到達すると

酸素を発生させることで好気性の微生物の繁殖を助け、

植物が利用できる有機物の増加が促され、土壌の肥沃度もアップします。

 

HPGen™の実証試験は主に施設栽培にて行われており、

数々の成功事例が報告されています。

 

1つの事例を簡単にご紹介します。

スコットランド東部を代表する果物生産者 East Seaton Farmの例です。

彼らはドリップチューブを使用したブルーベリーとイチゴの

水耕栽培を行っていましたが、かん水システム内において

白いぬるぬるした物質が繰り返し発生するという問題を抱えていました。

それがドリップチューブの排出口を塞ぎ、結果的に不均一

な灌漑となっていました。

そこでこの白い物質の正体を分析したところ、肥料に含まれる

鉄化合物を餌とする鉄酸化細菌であることが判明。

鉄酸化細菌が繁殖することで作物の鉄欠乏に

繋がっていることも明らかになりました。

そこで、彼らはHPNowに助けを求め、HPGen™をシステムに

導入したところ、白い物質が除去され、ドリップチューブの

詰まりも解消し、作物の鉄欠乏もなくなりました。

圃場で過酸化水素を簡単・安全に生成し、かん水に

注入することで素晴らしい効果がもたらされました。

 

日本でも、農業における過酸化水素のさらなる

可能性を探ってみてもおもしろいかもしれませんね。

 

参考: https://www.israelagri.com/?CategoryID=403&ArticleID=1960

 

sunhope mailmagazine vol.24