大切に育てている作物を狙う手ごわい敵のひとつ・・・
それは害虫。一寸の虫にも五分の魂と言いますが、
作物に被害が出ては腹の虫がおさまりません。
害虫対策は試験により人体や作物、環境への安全性が確認された
農薬の使用が一般的。
農薬の種類もいろいろあり、害虫や病気を予防する「殺虫殺菌剤」、
作物の成長を促進したり抑制したりする「植物成長調整剤」、
害虫をにおいなどで誘き寄せる「誘引剤」などに加え、
農作物を加害する害虫の「天敵」となる虫も
農薬とみなされているのをご存じでしょうか?
テントウムシの一種、ナミテントウはアブラムシを食べる
益虫として有名ですし最近では農研機構が「タバコカスミカメ」
による防除効果を証明。
キュウリやトマトなどの施設園芸で問題となる難防除害虫の
アザミウマ類やコナジラミ類の防除に有効として
5月末に農薬登録されました。
(研究成果) 天敵昆虫タバコカスミカメの農薬登録完了 | プレスリリース・広報 (naro.go.jp)
虫をもって虫を制す。
イスラエルの農業ポータルサイトAgrIsraelより
種苗メーカーHishtilと総合的病害虫管理(IPM)企業、BioBee
の取組みをご紹介します。
害虫に対処するための主な従来の方法は化学物質の噴霧ですが、
特に近年は、環境や人体に優しい方法への転換が進んでいます。
それは「総合的病害虫管理」(IPM)。
IPMとは、化学物質の使用を最小限に抑え、害虫駆除、
低リスク農薬など、自然で低毒性の害虫管理を意味します。
IPMの特徴は「益虫」と呼ばれる天敵の使用による
生物的害虫対策。
益虫は主に2つの方法で害虫を駆除していきます。
①食料となる害虫を直接食べる「捕食」
野菜や果樹、花卉・・・あらゆる作物に寄生するハダニが
好物(?)のカブリダニなど。
②害虫に卵を産み付け、孵化と同時に害虫を食べる「捕食寄生」
アブラムシの体内に卵を産み付け、その養分を吸い取って
成長するアブラバチなど。
自然界であれば、益虫と害虫は平衡状態を作り出し、
作物は適正な量と状態で存続できるでしょう。
しかし・・・商業的に栽培・販売する農作物は
自然界とはケタ違いの量。
気温や湿度など、益虫の活動が困難な状況下では、望む通りに
働いてくれない。ターゲットの害虫を食べてくれない、など
防除効果が期待できないケースも発生し得ます。
そこでHishtilは、BioBeeと協力して
作物に益虫が定着する仕組み作りに取り組んでいます。
BioBeeは、2012年にイスラエルの生産量のほぼ10分の9に
あたる2,000ヘクタールのピーマンを、提供している製品と
サービスでアブラムシ、ダニ、アザミウマ、コナジラミから
守った実績があります。
(製品=カメムシ、寄生バチ、カブリダニなど、益虫のセット)
Hishtilが目指すのは、益虫が作物に卵を産み付け、次の
世代の益虫が生まれ害虫を退治する・・・
作物に益虫が住み続けることで害虫を
防除し続けるサイクルの確立。
そのためには、作物ごとに、益虫の種類や益虫が働く
環境など、農薬として確実な効果を上げるためのデータを収集、
分析し製品化する必要があります。
生物が相手の開発は困難も伴いますが
Hishtilの「食品と環境の品質を向上させる」使命のために、
挑戦を続けています。
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Biological pest control (israelagri.com)
sunhopemailmagazine vol.29
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